【Windows 7サポート終了】Ubuntuに乗り換えたほうがいい人、乗り換えないほうがいい人

長らく活躍したOSであるWindows 7がサポート終了となりました。
そんな中、Windowsとは異なるLinux系のOSであるUbuntuの開発元のCanonicalが、Windows 7からUbuntuへの乗り換え用の説明資料を公開し、話題を呼んでいます。

ubuntu.com

 

Ubuntuは優秀なOSであり、年々進化しています。そのため、今や一般ユーザーでも簡単に使える安定性の高いOSと言えるでしょう。
Twitterなどでささやかれている「ソフトウェア開発者のようなとても専門性の高い人でないと使えない」というのは、もはや10年前の認識といえます。
(詳しい人向けの補足:PCとの相性問題などにより、一部不安定な環境もあります。もしくは、仮想マシンのようなデスクトップ機能に問題の出やすい特殊な環境で利用している場合にも不安定に感じるかもしれません。)

 

一方で、UbuntuWindowsとは違うOSなので、あなたがPCを使う目的によっては不便だったりすることもあります。

 

私は2015年、Windows 10が公開されたタイミングで、実際にメインPCをUbuntuに乗り換えました。その経験をもとに、Ubuntuに乗り換えたほうがいいかやめたほうがいいかどうかの判断基準について、私が考えていることをまとめました。
筆者の独断と偏見が大いに入っていますし、UbuntuユーザーなのでいくぶんかUbuntu寄りの意見にはなってしまっていると思いますが、実ユーザーの意見として少しでも参考になれば幸いです。

はじめに:「Windows 7を使い続ける」などという選択肢はない

「どうせPCに守るものなんてないし、サポート切れのWindows 7を使い続けるよ」という方、今すぐにやめましょう。

 

セキュリティの弱いIT機器は、サイバー攻撃を行う犯罪者にとっては感染拡大の足掛かりとしてとてもありがたいものなのです。
人に感染するウイルスが人から人に感染するように、コンピュータウイルスもIT機器からIT機器に感染します。
となれば、世の中にセキュリティ上脆弱な端末がたくさんあれば、その分コンピュータウイルスも広まりやすいものです。

 

また、人に感染するウイルスの場合でも、免疫が弱っていない健康な人でもずっとウイルスがたくさんいる環境にさらされていれば病気になってしまいますよね?
コンピュータも同じで、ずっとコンピュータウイルスなどによる攻撃にさらされれば、その分感染のリスクが高くなってしまいます。

 

つまり、サポート切れのOSを使い続けることは、インフルエンザウイルスに感染した状態でマスクもつけず満員電車に乗りまくるような迷惑行為なのです。

 

それでもWindows 7を使い続ける場合、すべてのWindowsアップデートを適用した後そのPCをネットワークから隔離し、USBポートにUSB機器を極力刺さないようにしましょう。
どうしてもUSB機器をWindows 7のPCに刺す必要がある場合、使う前と後にUSB機器に対するウイルス検査を絶対に忘れないようにしてください。


Ubuntuに乗り換えたほうがいい人

カテゴリ別にまとめました。


Windows 10に乗り換えない理由別

Windows 7を使い続けているあなた。
Microsoftがあんなにしつこく「Windows 10に乗り換えろ」と言ってきたのに乗り換えていない、あるいは乗り換えたのにUbuntuへの移行を検討しているということは、おそらく何かしらの理由があるはずです。
Windows 10に乗り換えられない原因、Ubuntuなら解決できるかもしれません。


使っているPCの性能が低く、Windows 10が重い人

Ubuntuそのものはそんなに軽くありません。
ただ、Ubuntuには、Flavour(公式の別のバージョン)がいくつも存在しており、その中には軽さに特化したLubuntuというエディションが存在します。

Lubuntuなら、Windows Vistaや7の世代のPCであれば大体それなりに使えることでしょう。

ちなみに、そもそもPCがWindows 10に対応していない場合でも、Ubuntuが使えることがあります。
ただし、さすがにそこまで古いPCだといつまで使い続けられるかわかりませんので、買い替えをおすすめします。


Windows 10の追跡型広告や、過剰な個人情報収集に嫌気がさした人

最近のMicrosoft製品全般に言えることですが、個人情報の収集が加熱しています。

私もこれに抵抗があってWindowsをやめたタイプで、少し前までGoogleを非難してプライバシーを売りにしていたMicrosoftの急な手のひら返しに抵抗がありました。

 

取られて困る情報があるというよりは、やりかたに抵抗があるという感じですね。

 

今どきGAFAM(Google,Amazon,Facebook,Apple,Microsoft)に一切個人情報を渡さない暮らしというのは難しいものですが、例えばブラウザはFireFox検索エンジンDuckDuckGoを使うなど、影響を少しずつ低減することは可能です。

ただ、日本だとどうしてもAndroidApple以外のスマホを使うことは難しく……。

 

愛用のソフトがWindows 10で使えない人

LinuxにはwineというWindowsアプリを動かすためのソフトウェアがあります。

うまく行く可能性は低いですが、たまに最新のWindowsでは動かない古いソフトがこれで動いたりするので、試してみる価値はあると思います。

 

また、Windows上で代替ソフトを見つけられなかった場合に、Linux上にはもっといいソフトがある可能性もあります。

探してみましょう。

 

度重なるWindows Updateに時間を取られるのが嫌な人

Windowsアップデートに時間を取られるのが嫌という話はよく聞きます。

Ubuntuももちろんセキュリティアップデートは多いのですが、アップデート後の再起動にWindowsほどの時間がかかることはほぼありません。

アップデートにかかる時間は短くなります。

 

あとは再起動を強制されることもないので、作業中のデータが飛ぶこともありません。

(ただし、再起動が必要と表示された場合にはできるだけ早く再起動しましょう!攻撃されると危ないので!)


PCの使い方・スタイル別

人に向き不向きがあるように、OSにも向き不向きがあります。
あなたのPCの使い方がUbuntuに向いているなら、きっとWindowsを使っている時よりも快適に使うことができるはずです。


主にPCをWebブラウジングに使う人

UbuntuをWebブラウジングに使う分には、Windowsとほとんど使い勝手は変わりません。

先ほども挙げたLubuntuであれば、Windowsよりも軽快に使うことができるでしょう。

今までWindows 10にアップグレードしていないなら、ものは試しとUbuntuに乗り換えてみてもいいと思います。


趣味がお絵かきや写真、動画編集、文筆などメジャーなものである人

メジャーな趣味をカバーできるソフトはだいたいUbuntu上にも存在しています。

また、私は絵を描くのですが、WacomのペンタブもUbuntu上で問題なく動作します。


カスタマイズが大好きな人

かつてのOperaブラウザやFireFox、現在のVivaldiのようなWebブラウザが好きなあなた。

Windowsでもランチャーを大量導入して心ゆくまで使い勝手を追求していたあなた。
Ubuntuなら心行くまでカスタマイズが可能です。

もちろんUbuntuの独自のUIをベースにするのもいいですし、やろうと思えばWindowsのようにも、MacのようなUIにもできてしまいます。

 

自分の使っているものに貢献したい人

Ubuntuオープンソースソフトウェアです。

オープンソースは世界中の多くの人の貢献で成り立っています。

貢献しようと思ったなら、あなたも貢献できるのです。

Ubuntuの場合は寄付も可能です。

 


ソフトウェア開発などを勉強したい人

ソフトウェア開発の環境を整えるのは、大体の場合Ubuntuのほうが楽です。

はやく開発がしたいのにあれを入れて、これを入れて、これを設定して…というような苦労がかなり減ります。

(一昔前のCUDAによる開発など例外もあります。CUDAも最近は導入が容易になっているらしいのですが、今どっちのほうが楽なのかまでは追えてない…)

 

Ubuntuに乗り換えないほうがいい人

次は逆に、乗り換えないほうがいい人の特徴を挙げてみます。


Windows 10に乗り換えない理由別

新しいものの使い方になれるのが面倒な人

流石にWindows 7Windows 10の使い勝手の差よりは、Windows 7Ubuntuの使い勝手の差のほうが大きいです。

この場合はあきらめましょう。

(カスタマイズでWindows 7に近い使い勝手にはできるので、PC操作に自信のある方はこの限りではありません。)


PCの使い方・スタイル別

メーカーのサポートがほしい人

当然ですが、元々Windowsが入っていたPCのOSをUbuntuに入れ替えることをPCメーカーは想定していません。
基本的にはPCメーカーに頼れなくなります。
また、インターネット上にはUbuntuの使い方について様々な情報が存在しますが、マイナーな機種特有の問題の場合、情報が出てこないことがあります。


Microsoft Officeでほかの人とファイルをやり取りする人

Ubuntuのオフィス系ソフトではLibreofficeという便利なソフトがあるのですが、これは決してMicrosoft Officeの互換ソフトではありません。

ONLYOFFICEなどはMicrosoft Officeとの互換性が高いのですが、完璧かどうかはわかりません。

他人に完成原稿を送るだけならPDF出力して送信する手もあります。

しかし、複数人でファイルを共有して文集を作ったりする用途だと、全員がMicrosoft Officeでないと不都合があるので、そういった方にはおすすめしません。


ターゲティング広告が好きな人

Windows 10などに導入されたターゲティング広告を気味悪がる人も多い反面、個人に最適化された広告が表示されるのを便利に使いこなす人もいます。

Windows 10では広告表示のための情報収集を積極的に行っているので、ターゲティング広告の精度は高いはずです。


ガチなPCゲーマーの人

なんだかんだ言って最新ゲームがまっさきに対応するのはWindowsです。

私はゲーム機派なので困ったことはないのですが、やはりPCゲームをやるならWindowsのほうが良いでしょう。


マイナーな趣味にPCを使う人

マイナーな趣味にPCを使っている場合、Ubuntuに移行するといい代替ソフトやハードウェアがないことがあります。

例えばレトロゲームの生放送や実況動画の作成用途で使われるGV-USB2はUbuntuでは動作しませんGV-USB2のLinux用ドライバを開発されている方がいらっしゃるようです。(私はGV-USB2の代わりにAmazonで買った他の製品を使っています。)

また、「ゆっくり実況」というジャンルの動画作成に用いられるゆっくりムービーメーカーUbuntuでは動作しません。

 

もちろん、ないソフトは自分で作る手もありますが、敷居は少し高いです。


音声アシスタントなど、マウスやキーボードに触れずに直感的な操作がしたい人

Windowsにはコルタナなどの優秀な音声アシスタントが存在します。

Ubuntuでもできないことはないのですが、やはりこの部分はWindowsのほうが直感的です。


英語を見ると不安になる人

Ubuntuはほとんどの部分が日本語に訳されていますが、稀に英語のメッセージが残っています。

また、インターネットで調べて出てくる情報も英語が多いです。

あまり高度な英語力は必要ないのですが、英語をみるのも嫌だという方にはおすすめできません。


まとめ

こんな感じでいろいろ書いてはみましたが、これらの要素が絶対であるとは限りません。

別にUbuntuに乗り換えたら一生使い続ける必要があるというわけでもないので、とりあえず使ってみて、ダメなら心機一転新しいPCに買い換えるというのもありかもしれません。