「棋士・藤井聡太の将棋トレーニング」がとうとう発売されましたね!
まるで乙女ゲーのようなUI、藤井七段の肉声によるタイトルコールなど発売前からインターネット上で話題になった本作。
インターネット上の書き込みを見ると、「実在の棋士を題材としている」「任天堂ハードで発売されている」という点から「最強羽生将棋」がよく引き合いに出されていた印象があります。
私も両方の作品をプレイしたので、せっかくなのでこの二作品の差異について記事を書いてみました。
※当記事において各棋士の段位・タイトルは各ソフトの発売時点のもので統一しております。
共通点
棋士の写真とボイスが盛りだくさん
「棋士・藤井聡太の将棋トレーニング」では、藤井七段の写真やボイスが盛りだくさんで、開発者インタビューでもそのこだわりについて触れられています。
ボイスはストーリーモードやタイトルコールなど、各所に使われています。
写真についてはオフショット感のあるものがたくさん収録されており、ポーズについてはデザイナーが決めていたものとのことです。
参考:「完全に乙女ゲー」「ネタかと思った」ネットがザワついた藤井聡太の将棋ゲーム、開発者に意図を聞いてみた
一方、「最強羽生将棋」でも羽生七冠の写真・ボイスが盛りだくさんです。
ボイスが様々な場面で流れる「棋士・藤井聡太の将棋トレーニング」とは違い、「最強羽生将棋」のボイスは実力試験で一定の成績を修めたりするなど、主に何かを達成したときに聞くことができます。
写真は「棋士・藤井聡太の将棋トレーニング」と同じく、オフショット感のあるものもたくさん収録されており、その数なんとNINTENDO 64のソフトの容量からは想像しがたい50枚以上です。
説明書には非常に高品質な写真も掲載されており、羽生七冠のファンは必見ではないでしょうか。
完成度の高い音楽
もちろんゲームなので場面に応じて様々な音楽が流れるのですが、どちらの作品もそれらの音楽の完成度が非常に高いものとなっています。
「棋士・藤井聡太の将棋トレーニング」では様々な音楽が用意されており、対局中のBGMだけでも大量に存在します。
また、局面の進行度に応じて切り替わる音楽や、ショップで音楽を購入してカスタマイズできる仕組みなど、音楽も楽しみの一つとして作り込まれています。
「最強羽生将棋」の音楽については、対局BGMが1種類しかないものの、それがゲームを盛り上げるために最大限機能するようになっています。
以前最強羽生将棋の音楽についてブログ記事を書きましたので、よろしければご覧ください。
豊富な詰将棋問題
将棋の上達のために有効とされる練習法の一つが詰将棋です。
「棋士・藤井聡太の将棋トレーニング」では、藤井七段自身が作られた詰将棋をはじめ、多くの問題が収録されています。
「最強羽生将棋」でも詰将棋はもちろん収録されており、その数312問です。
盤の材質によって変わる駒音
本当に細かい作り込みですが、どちらのゲームでも盤の種類を選択可能であり、その種類によってちゃんと駒音が変化するようになっています。
細部までこだわって作られていることがわかりますね。
相違点
そもそもターゲットとする客層が違う
「棋士・藤井聡太の将棋トレーニング」のゲーム内容は初心者の方へのフォローアップが中心であり、これから将棋をはじめようという初心者の方をターゲットとしています。
一方、「最強羽生将棋」のゲーム内容にもルール説明のような初心者向けの部分もありますが、棋譜鑑賞など将棋ファン向けの機能が充実していることから、すでに将棋ファンの人をターゲットとしているようです。
初級者から中級者になるためのフォローアップの有無
どちらの作品にも駒の動かし方から学習できるモードがついています。しかし、その先の部分に差があります。
将棋は駒の動かし方を知るだけで一応は遊べるのですが、強くなろうと思ったら基本的な考え方を知っていく必要があります。
「棋士・藤井聡太の将棋トレーニング」では、ストーリーを進めていくとこれらの考え方を順番に教えてくれます。
一方の「最強羽生将棋」では、このあたりのフォローアップが非常に手薄で、駒の動きを覚えたあとに何をしていいかがいまいちわからないかと思います。
また、「最強羽生将棋」ではレベル0とレベル1の差が非常に大きく、このゲームで将棋を覚えるとレベル1になかなか勝てずに苦労するということもあるのではないでしょうか。
私は「最強羽生将棋」のおかげで将棋を指せるようになりましたが、棋書と併用していました。
ちなみに最初に読んだ本はこれです。
上級者や有段者が楽しめる仕組みの有無
「棋士・藤井聡太の将棋トレーニング」にも将棋通が楽しめるような小ネタはいくつもあるのですが、正直物足りない部分があると思います。
「最強羽生将棋」では、羽生七冠の棋譜を612局収録し、羽生先生本人を含むプロ棋士が全ての棋譜に解説を執筆されています。
正直とんでもないボリュームですので、この部分だけでも買う価値があります。
AIに最強を求めるか、自然な弱さを求めるか
「棋士・藤井聡太の将棋トレーニング」のAIは、藤井七段監修の元、入門者といい勝負ができるように自然な弱さを実現したものです。
参考:「完全に乙女ゲー」「ネタかと思った」ネットがザワついた藤井聡太の将棋ゲーム、開発者に意図を聞いてみた
棋力は細かく調整できますが、最高レベルでも現在の最先端のAIと比べると大幅に弱いものとなっています。
一方、「最強羽生将棋」では、当時コンピュータ将棋選手権で前人未到の4連覇を達成した最強の将棋プログラム金沢将棋を搭載しています。
また、AIの思考中のフレームレートを1に下げるなどの工夫によって、AIの性能をフルに引き出す工夫をしています。
発売当時、NINTENDO 64は性能があまりに高く、最強羽生将棋はNINTENDO 64と値段が10倍も違うPC用の将棋ソフトよりも強力だったという話もあります。
ただ、時代が違いすぎるので、多分最高レベル同士だと「棋士・藤井聡太の将棋トレーニング」のほうが少し強いのかなという感じはします。
それぞれの作品の強み
ここまでそれぞれの作品の共通点と相違点を見てきました。
相違点があるということは、もちろんそれぞれのゲームに強みがあるということです。
これら強みをしれば、どちらのソフトがあなたに合っているのかがわかると思います。
「棋士・藤井聡太の将棋トレーニング」の強み
「棋士・藤井聡太の将棋トレーニング」は、将棋を知らない人が楽しく将棋を覚えるのに適しています。
丁寧な説明だけでなく、ログインボーナスのような仕組みや、盤、駒、問題、棋書、BGMなどのコレクション要素など、モチベーション維持の仕組みも整っており、はじめての将棋ソフトに最適な一本と言えるでしょう。
「最強羽生将棋」の強み
「最強羽生将棋」は、将棋ファンの方がより将棋を楽しみたいときに最適です。
612局の解説付きの棋譜、実力試験、10秒将棋モード、二面指しなど、ファンも唸る機能がたくさんついています。
自分で将棋を指す方はもちろん、観る将(将棋を見て楽しむファン)の方にもオススメの一本です。
まとめ
「棋士・藤井聡太の将棋トレーニング」と「最強羽生将棋」は どちらも素晴らしい作品となっています。
将棋に少しでも興味を持たれている方は、 どちらか、あるいはどちらも購入してみてはいかがでしょうか。
将棋を覚えると一生楽しめますので、コストパフォーマンス抜群ですよ!
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あと私は「最強羽生将棋」のRTA(ゲームの早解き)を10年くらいやっているので、このような遊び方も長く遊べてコスパがいいかもしれませんね!