N64用ゲームソフト「最強羽生将棋」の攻略本「「最強羽生将棋」完全攻略活用ブック―佐島家の野望」。
1997年2月に発売されたこの本は指導棋士の小田切先生により執筆されたガチな本で、掲載された同ゲームのコンピュータレベル1の最短手順は、私が知る限り今年に至るまで更新されていないはずです。
しかし、10年以上に渡る研究の末、ついにこの手順の更新に成功いたしましたので掲載いたします。
レベル1 最短手順
攻略本:21手→本手順:19手
後手:レベル1
▲3六歩 △3四歩 ▲3七桂 △3二金 ▲2九飛 △6二銀
▲6六歩 △同角 ▲7六歩 △5七角成 ▲1一角成 △2二銀
▲2一馬 △4一玉 ▲3五桂打 △4七馬 ▲4三桂成 △3一金
▲同馬
まで19手で先手の勝ち
解説
後手:最強羽生将棋 レベル1
▲3六歩 △3四歩 ▲3七桂 △3二金 ▲2九飛 △6二銀
** △6二銀が壁となり玉の逃げ道が狭くなった瞬間に相手の攻めを誘導しこの形から発展させないことは、対最強羽生将棋における一つのセオリー。先手の桂馬、飛車の位置は後々攻め込ませた際に相手の指し手を誘導するための準備。
▲6六歩 △同角 ▲7六歩 △5七角成
** △4四歩パックマン戦法の変形。レベル2以上では▲6六歩で△5七角成に代えて△8八角成としてきて不成立だが、レベル1に限ってはここで角交換を避けてくるため成立する。
▲1一角成 △2二銀 ▲2一馬 △4一玉
** このような攻めに対して最強羽生将棋の低レベル帯のコンピュータは玉を寄せて利きを足そうとしてくることが多いが、多くの場合逆用することができる。
▲3五桂
** 2一の馬と連携して4三の地点を露骨に狙う手。
△4七馬
** 本来3五の桂を取っておしまいだが、本譜の△4七馬が飛車取りになっているため一見味が良く釣られてしまう。
▲4三桂成 △3一金
** 同金としておけばまだ粘れたが、飛車取りとなっている先手陣にも目移りする局面なこともあり読めていない。
▲同馬
まで19手で先手の勝ち
どうやってこの手順を発見したのか
私は最強羽生将棋のRTA走者であり、チャート研究のために自動的に手順を研究するツールを開発しています。
しかし、今回の手順はシンプルに私が手作業で発見したものです。
とはいえ、ツールが出力した様々な手順を見て弱点の傾向を掴んでいたからこそ発見できた手順であり、完全な人力かといえば疑問符がつきます。小田切先生がこのような補助なしに21手の攻略本手順を考案されたという事実には驚くばかりです。
他のレベルの短手数
レベル1以外については今年はじめて攻略本手順を更新できたわけではありませんが、おまけとして掲載します。
レベル3
35手→23手
後手:最強羽生将棋 レベル3
▲7六歩 △3四歩 ▲1六歩 △4四歩 ▲7七角 △3二飛
▲7八飛 △6二玉 ▲7五歩 △7二玉 ▲9五角 △4五歩
▲7七桂 △4二銀 ▲7四歩 △9四歩 ▲7三歩成 △同桂
▲6五桂 △9五歩 ▲7三飛成 △8一玉 ▲8三龍
まで23手で先手の勝ち
レベル5
31手→23手
後手:最強羽生将棋 レベル5
▲4六歩 △8四歩 ▲4五歩 △8五歩 ▲4四歩 △8六歩
▲4三歩成 △8七歩成 ▲5三と △8八と ▲同 銀 △7二金
▲8六歩 △同 飛 ▲4八飛 △4七歩 ▲同 飛 △5八歩
▲同 金左 △6八角 ▲同 金 △3二金 ▲6一角
まで23手で先手の勝ち
研究レベル
攻略本未掲載→29手
後手:最強羽生将棋 研究レベル
▲4六歩 △8四歩 ▲4五歩 △8五歩 ▲4四歩 △8六歩
▲4三歩成 △8七歩成 ▲5三と △8八と ▲同銀 △7二金
▲4八飛 △5八歩 ▲同金左 △6五角 ▲4七金 △8八飛成
▲同飛 △4七角成 ▲5八金 △2九馬 ▲8一飛成 △4七桂
▲6九玉 △5九金 ▲7九玉 △7八銀 ▲同玉
まで29手で先手の勝ち
先手:最強羽生将棋 研究レベル
▲2六歩 △4二飛 ▲6八玉 △9四歩 ▲7八玉 △9五歩
▲6八銀 △3四歩 ▲4八銀 △8四歩 ▲5八金右 △7二飛
▲7九角 △5二玉 ▲8八玉 △6二銀 ▲7八金 △9三桂
▲9六歩 △同 歩 ▲同 香 △5一金左 ▲9四歩 △8五桂
▲9三歩成 △7一飛 ▲8二と △9六香 ▲7一と △9五香
まで30手で後手の勝ち