ドンキのNANOTEにKubuntuをインストールしたらとても快適だった

ドンキのNANOTEを買って使ってみた感想です。

結論から言うと、私の用途では普通に実用に耐えうるスペックでした。

 

※使ってみたところスペック的には実用できそうに感じましたが、SNSなどでは分解された方などから耐久性や安全性に疑問を呈する書き込みがたくさん出ていますので、そっちの理由で実用に耐えうるかはわかりません。いろいろ情報を見て使い道を決めたほうが良さそうです。

Kubuntuについて

私がドンキのPCに入れたKubuntuについて説明します。

Kubuntuってなんぞや

Linuxディストリビューションの一種で、Ubuntuのデスクトップ環境をKDEに変えたOSです。

KDEは高機能なデスクトップ環境で、以前は重いと言われていたこともあったものの近年はかなり改善され、かなり軽快に動作します。NANOTE上でもサクサク動くので驚きました。

インストール

Kubuntu 20.04のインストールメディアをUSBメモリに焼いてインストールしました。

以前Atom機を使っていた経験から苦戦するかと思いきや、マジで何も書くことがないくらいスムーズに終わりました。

古いバージョンだとタッチパッドが機能しなかったりするようです(18.04ではダメでした)。

 

万一のときに戻せるように、USBメモリWindowsの回復メディアを作っておくと安心です。

必要な設定

デフォルトでは画面が横向きになっています。

KDEシステム設定から画面の向きを変更しましょう。(Linuxなのでコマンドで変更することも可能です。)

画面表示の向きだけを変えてもタッチパネルの座標の向きは変わらないので、こちらの記事などを参考にスタートアップスクリプトを仕込むとよさそうです。

Linuxでタッチスクリーンを回転して利用する - Retired Colourman

 

DPI設定はお好みで。

 

あとNANOTEはWindowsではキーボードを180度以上回転させるとキーボードが無効化されますが、Kubuntuでは無効にならないようです。

タブレットとしても使いたい場合には、タブレットモードにしたときにキーボードを無効にするためになにかしら工夫はしたほうがいいかもしれません。(私はしていません。)

実際に使ってみて

Twitterでは「何にも使えない」「使って楽しむものではなく、分解したり改造したりする行為そのものを楽しむもの」と言われていますが、Kubuntuだと普通に実用に耐えられる印象です。

パフォーマンスについて

ベンチマークスコアについてはいくらでも出回っているので、私は実際の使用感をば。

 

まずYouTubeについて。とある記事に「YouTubeはきつい」と書かれていたのが拡散されていましたが、少なくとも私の環境ではYouTubeはスムーズに見れます。

その記事はWindows、私はKubuntuでの検証なので環境に差はありますが、シングルタスクの動画視聴でパフォーマンスに大きな差がでるとは思えません。

大方あれは発売直後の記事なのでバックグラウンドでWindows Updateが走りっぱなしになっていてリソースを吸われていたか、プリインストールのEdgeのバージョンが古かったかそのあたりが悪さをしているのではないかと思います。

Windowsで低スペック端末を運用する時は、まずWindows Updateを全部当てるのが第一歩ですよ!

【追記】未確認情報ですが風のうわさでWi-Fiの速度が遅い個体があるらしいという話を聞きました

【追記2】Wi-Fiの速度については個体差ではなく、Windows側のドライバが原因とのことです。Kubuntuでは特に気にすることはありませんが、Windowsでの利用時は手動でのドライバ更新をしたほうがいいようです。

 

私が2018年中ごろまで使っていたAtom機と比べても非常に快適です。Kubuntuがすごいのか他の要因なのかはわかりません。

 

ブラウジングをするとページの読み込みで待たされることがありますが、軽い調べものなら十分です。

 

また、プログラミングについては、軽めのIDEであれば全然できます。

QtCreatorで小規模なC++プロジェクトをいじくったりするくらいなら大丈夫です。

それでも重く感じた場合には、テキストエディタIDEの中間のような存在であるGeanyは強い味方です。滅茶苦茶サクサク動きます。

 

LibreOfficeは少しもったりした動きにはなりますが、個人的には使えないほどではありません。

 

 

とはいえ、RAMは4GBなのでマルチタスクはあきらめましょう。これはスマホのようにシングルタスクで使うもののようです。

 

個人的にはこれくらい動いてくれるのであれば、低スペックというデメリットよりも、軽くて安いからどこでも自由に使えるというメリットのほうが10000倍大きく感じます。(筆者は高い機種を雑に外に連れ出すと壊れるのが怖い人です。)

 

キーボードについて

めちゃくちゃ使い物になります。甘く見てました。これは嬉しい誤算です。

主観になるのですが、様々な記号キーが独立しているので変態配列とはいえタイピングで混乱することはほとんどありません。

私は職業プログラマーなのですが、普通に軽いコーディングに使えると感じたほどです。

あとF1〜F8までのキーが独立しているのも嬉しいですね。

この配列のキーボードを搭載したUMPCがもっと増えてくれたら私が幸せになれます。

Tabが独立してなくてAlt+Tabができないのは困った点ですが、KubuntuだとショートカットキーをいじれるのでAlt+Qに設定して代用しました。

最初はQの隣にTabがないせいで指の置き場所が一個ずれてタイプミスということがありましたが、10分で慣れました。

キーピッチもある程度確保されており、キーストロークも深く、キーが左右にブレることもないので、このサイズとしてはとても打ちやすいです。

 

また、しばらくNANOTEでタイピングしてからメイン機の普通のJISキーボードでタイピングしても混乱はありませんでした。すごい。 

音声について

スピーカーはいい音とはいえませんが、値段相応の音は鳴ります。

 

イヤホンをつなぐと小さいながらホワイトノイズが入るので、USBオーディオインターフェースやBluetoothイヤホンを使ったほうが幸せになれるかも知れません。

画面について

視野角が広く、発色も悪くありません。(2017年購入のうちの安物テレビよりはいいです。)

この値段でこの品質は素直に驚きました。

その他モバイルPCとしての使い勝手(スリープ時の消費電力など)

スリープは使い物になります。

NANOTEはKubuntuでもちゃんと画面を閉じればスリープしてくれますし、開けるとすぐに復帰してくれます。

せっかくなので、スリープ時にどれくらい電気を食うのかを試してみました。

充電100%の状態で画面を閉じ、3時間放置して画面を開いたところ充電は91%残っていました。

普通に使い物になる水準だと思います。

 

また、キーボードによる画面の輝度調整なども何も設定せずとも機能しました。

モバイルPCとして必要な機能は一通り動作するようです。

 

発熱についてですが、有名なベンチマークプログラムを走らせてみてもCPU温度が70度を超えることはほとんどなく、表面温度もやけどしそうな温度にはなりませんでした。

ファンレスでこれは嬉しい。

まとめ

私は(耐久性・安全性など他の問題がなければ)コーディング用、文章書き用などにガンガン使っていくつもりです。

特にキーボードには惚れ込んでしまいました。こんなサイズのキーボードでこんなに打ちやすいのは衝撃です。UMPCはあまりつかったことがないものの、記号キーがたくさん独立しているものは少ないため、キー配置の変更なしにすんなり打てるのはNANOTEだけだと思います。(他に似たようなのがあったら教えてください。なお、筆者はソフトウェア側でキー配置を変更すると、めったにうたないキーの位置を忘れて死ぬので、そのあたりのカスタマイズを行うことは難しいです。)

 

――こうして、また一人の人間がUMPC沼へと落ちていく……。