ドンキの「NANOTE」の使い道の提案とAtom搭載機を使うためのノウハウ

※この記事は実機レビュー記事ではなく、前半はスペック表を見ながら筆者がした妄想を書き連ねた記事、後半は過去に使っていた似たようなスペックのPCを使ったときに得たノウハウを書き連ねた記事です。この記事に書いてある使い道ができなかったとしても筆者は一切責任を取りません。

※【2020/05/02追記】買ったので記事書きました→

ドンキのNANOTEにKubuntuをインストールしたらとても快適だった - 緑SM64のいろいろメモ

 

この度、ドン・キホーテから新しいPC「NANOTE」が発表されました。

pc.watch.impress.co.jp

こちらの商品、画面が7インチと超小型、画面が360度回転してタブレットにもなるという尖った仕様にもかかわらず、なんと税別価格19,800円(税込21,780円)という激安価格を実現しており、一部のガジェット好きから熱い視線を集めています。

(※一般にモバイルノートと言われるデバイスの画面サイズは13.3インチとかそんなんなので、7インチは滅茶苦茶小さいです。こういった超小型PCのことをUMPCと呼んだりします。)

一方で、その価格を実現するために性能が抑え気味であり、一部からは「使い道がない」「ゴミクズ」といった厳しい声も聞こえてきます。

 

確かに性能はかなり低く、これを普通にメインPCとして使うのは相当厳しいと思います。

しかし、使い道なんて発想一つ。PCを運用に合わせるのではなく、運用をPCに合わせてやればよいのです。

 

そんなわけで、この記事では僕の考えた最強のNANOTEの使い方を説明していきます。

 

なお、この記事の執筆時点ではNANOTEは発売されておらず、当然私も所有していないため、私の想像外の弱点などが存在する可能性があります。

人柱になりたい人以外はTwitter等で評判がひとしきり出てくるまで待つことをおすすめします。

 

また、記事の後半では、2年ほど前までこれよりはるかに性能の低いPCをガシガシ使ってきた私による低スペックPCを使うためのノウハウを公開します。

 

NANOTEやそれに類するPCにご興味のある方の参考になれば幸いです。

NANOTEはどんなもの?

まず、NANOTEがどのようなもので、どんな使い道が考えられるかを見ていきましょう。

NANOTEのスペック

まずNANOTEの基本仕様です。だいたい分かればいいかということで抜粋してますので、詳細は公式HPを見に行ってください。

CPU:Atom x5-Z8350

メモリ:4GB

ストレージ:eMMC 64GB

画面解像度:1920×1200

特にCPUのAtom x5-Z8350というのが曲者です。

CPUというのはPCの計算を担う重要な部品で、これがしょぼいと動作速度に直に影響します。

Atom x5-8350は低消費電力な代わりに性能の低いCPUな上、すでに発売から3年がたった古いCPUです。

ドンキPC全般に言えることですが、普通のビジネスPCを求める人が間違って買わないように、もっとパッケージや陳列からガジェットオタク以外お断りのオーラを放っておいてほしいものですね。

 

メモリやストレージについても現行機種としては最低ラインとなっており、eMMC 64GBというのは普通に運用してたらWindows Updateに失敗して起動しなくなるかもしれないレベルです。

 

一方で画面解像度は高く、現物をみないことには断言はできませんが、割と表示はきれいなのではないでしょうか。

NANOTEの魅力

このような小型のPCはどこにでも持ち運べてタブレットにもなり、Surfaceのようなキックスタンドではないため膝の上でのタイピングも簡単です。

Surfaceは公式が膝の上でもタイピングできると主張していますが、実際やると膝が滅茶苦茶痛くなります。)

 

また、他の同サイズのPCたちは確かに高性能なのですが、あれらは高価なので、結局保護ケースに入れないと不安になってカバンの中でかさばるという事態になりかねません。

実際ノートPCはそんなに雑に扱ってなくとも、カバンの中で圧力がかかっておじゃんとかはあります。

その点安物ならケースなしでカバンに入れても心理的負荷は小さいですよね。

このサイズならポケットが大きい服ならポケットに入れて持ち運ぶなんてこともできるかもしれません。

 

あとはプレスリリースの写真を見る限り、このサイズのPCにしては独立した記号キーが多く、キーボードの使い勝手がマシそうに見えます。(あくまで”このサイズのPCにしては”です。)

NANOTEの使い道

こんな性能の低いNANOTEですが、どのような使い道が考えられるでしょうか。

メモや長文を書く用のデバイスとして

出先である程度長い文章を書く必要がある場合、キーボード付きデバイスがあるとはかどります。

今やだれでも持ち歩いているスマホですが、タッチパネルによるフリック入力は高速な文字入力が可能ですが、長文を書いていると手が疲れてきます。

スマホネイティブの若い人は大丈夫かも知れませんが、少なくとも私のようなおっさんにはきついです。)

 

NANOTEは性能が低いため、Microsoft Wordなんかを使うのは厳しいかも知れませんが、メモ帳のようなテキストエディタなら軽快に動きます。

私はGeanyというエディタにMarkdownプラグインを入れて構造化テキストを書いたりもしていました。

また、起動の遅さについてはスリープで対処すればなんとかなると思います。(やすいデバイスなのでスリープ関係の不具合があるかもしれませんが、その時は気を強く持ってください。

 

なお、キー配列が変則的なので、記号を打つのには慣れが必要だと思います。

動画視聴や電子書籍リーダー、ネットサーフィンなど、軽いタブレット用途として

インターネット上の書き込みでは「CPUがAtomではYouTubeも厳しい」と言われていますが、流石に甘く見過ぎです。

YouTubeをしながら他の作業……となると厳しいですが、YouTubeを見るだけなら余裕です。

こうなると画面解像度の高さが生きてきます。

 

タブレットならAndroidiPadがあるじゃないかと思われるかもしれません。

しかし、iPadはお値段が高いですよね。

また、Androidのやすい端末は往々にしてセキュリティに問題があります。

「軽い用途ならセキュリティなんて考えなくていいじゃん」なんて甘くみてはいけません。

 Androidから家庭用ルーターを攻撃するマルウェアが見つかっています。

万一ルーターを乗っ取られたら家のセキュリティはえらいことになってしまうので、家の中で使うデバイスのセキュリティには気をつかうべきです。

 

なぜこういった用途でWindowsのほうがセキュリティがマシかというと、セキュリティパッチの配信方法の差にあります。

AndroidGoogleが開発したセキュリティパッチを受け取った各ハードウェアのベンダーが、内容を確認、各端末に合わせて修正した上でユーザーの端末に配信します。

このとき各ハードウェアのベンダーが「セキュリティなんてええやん」とセキュリティパッチを全然配信しないことがあります。

一方でWindowsMicrosoftが直接ユーザーの端末にアップデートを配信します。

ハードウェアのベンダーが勝手にせき止めることはありません。

 

もちろんWindows機でも怪しいメーカーだと買ったときからマルウェアが入っているというような事態はありえるので、ドン・キホーテにどこまでの信用を置くかという話にはなってきますが……。

 

また、最近勢いを増しているChrome OSについては、日本国内で売られている端末はなんかサイズ感が大きいです。

7インチくらいの片手でもまあ扱えるくらいのサイズとなると選択肢はほぼないのではないでしょうか。

 

また、Windowsタブレットの欠点として、ユーザーインターフェースタブレットに最適化されておらず、正直タッチだけでは使いにくい機能が多いという点があります。

そのため、必要なときにはすぐにキーボードが使えるこちらの端末は、Windowsタブレットとしてはとても優秀な形なのではないかと考えています。

 

なお、タブレットとはいえ、間違ってもソーシャルゲームのような重いことをやろうなどと考えないほうがいいです。

それに耐えられる性能は持ち合わせていないはずです。(艦これくらいならなんとかなるかもしれませんが……。)

レトロなPCゲーム用端末として

いくら性能が低いとはいえ、さすがに大昔のゲームは動かせるくらいの性能があります。

押し入れに眠っている思い出のWindows用ゲームを、このデバイスで再び遊んでみるというのはいかがでしょうか。

小型なので携帯ゲーム機のように隙間時間に遊ぶことができます。

最近のWindowsにはISOファイルをCDとしてマウントする機能もあるので、メインPCでインストールCDの内容をISOファイルに書き出し、NANOTEに移してインストールという手順をとることができます。

詳しくは「ISO マウント」とかで検索すると出てきます。

 

ちなみに当ブログは古の名作パズリングを現代のOSでプレイする方法を記事にするために設立され、アクセス数が最も多い記事はおそらく昔のR-18な将棋ゲームについての記事です。(はてな標準のアクセス解析しかみてないので正確な数値は把握していません。)

簡易サーバーとして

例えばUSBハードディスクをつないでバックアップ用のファイルサーバーとして使うという手があります。

 

最近Google Driveなどのクラウドストレージがかなり強くなっていますが、ファイル転送にインターネットを通ることになるので時間がかかってしまいます。

また、プライバシーの問題なども気になりますよね。

その点、ローカルにファイルサーバーがあれば転送も速いですし、プライバシーの問題も(マルウェアにやられなければ)気になりません。

Windows 10はいろんな情報をMicrosoftに送信しますが、気になる方はNANOTEからインターネットへの通信をルーターのFWなどでブロックしてやればいいです。詳しくはお使いのルーターのマニュアルをご覧ください。)

 

また、最近流行りのバージョン管理ツールのGit、マジの実験的な個人用プロジェクトでGitHubやGitLab.comのようなクラウドサービスを使うのも気が引けるということがあるかもしれません。

そんなときにはNANOTEにGitlabのコンテナなんかを走らせておくと、端末間でのプロジェクトの同期が簡単です。

Gitは分散リポジトリなので、最悪NANOTEが死んでもリポジトリは復旧できるのが嬉しいですよね。

 

当然、他にもWebサイト・システムの開発用のサーバーだったりいろんな用途が考えられます。

 

とはいえ、24時間稼働を前提とした端末ではないため、あんまり負荷をかけたり長時間稼働させると出火する可能性も捨てきれません。

ガチのサーバーとして使うことはやめて、寝るときには電源を落としましょう。

(それをサーバーと呼んでいいのか?というツッコミはご遠慮ください。)

シンクライアントとして

NANOTE本体の性能が低いというのなら、処理は他のマシンに任せればいいのです。

リモートデスクトップでメインマシンにつないで、好きなスペースで作業するのは便利かも知れません。

スマホのデザリングなどを使えば、自宅や無料アクセスポイントがある場所以外でも作業ができます。

Atom搭載の低スペックマシンを使うためのノウハウ

さて、使い方を限定したところで、このスペックのPCを使うにはいくらか工夫が必要です。

そこで、CPUがAtomかつメモリ、ストレージが少ないデバイスを使う上でのノウハウをここで書いていきます。

筆者が2年前まで使っていたPCのスペック

CPU:Atom Z3740

メモリ:2GB

ストレージ:eMMC 32GB

NANOTEよりも遥かに性能が低いですね。

低スペックマシンを使うにあたって気をつけること

いろいろ気をつけることがあります。

OSのインストールメディアは常備しよう

このデバイスはストレージが少なすぎるので、アップデートが失敗してうっかり死ぬなんてことは最初から覚悟すべきです。

実際私が先述のPCを入手した経緯は、もともと父が使っていたPCがアップデートに失敗して死んだため私にくれたことです。(OS入れ直して使いました。)

当然アップデートに失敗して死んだ場合、OSの再インストールが必要です。

今はMicrosoftの公式HPからインストールメディアの作成ツールが落とせるので、USBメモリをインストールメディアにするのは簡単です。

ライセンスもデバイスに紐付いているので、ライセンス認証も簡単です。

インストール中はほとんど放置でいいので、思ったほど時間も取られません。

いい時代になったものですね。

ファイルはできるだけMicroSDカードに入れよう

この手のPCはストレージ容量が足りなくなってWindowsアップデートで死ぬ確率が高いです。

本体の空き容量を圧迫しないために、写真、動画、文書、音楽などなどのファイルはできる限りMicroSDカードに入れましょう。

また、本来推奨されるものではありませんが、容量の大きいプログラムのインストール先もSDカードにしておくと無難です。

なお、MicroSDカードの信頼性はそんなに高くないので、必要なファイルは何かしらの外部媒体にバックアップを取りましょう。

Windowsアップデートの度にディスクのクリーンアップをかけよう

Windowsアップデートのあとはいろいろなゴミファイルができてディスクを逼迫します。

特に年2回の大型アップデートなんてひどいものです。

ローカルディスクC:を右クリック→プロパティ→ディスクのクリーンアップ→システムファイルのクリーンアップ→以前のWindowsのインストールやWindows Updateのクリーンアップ、Windows Upgrade ログ ファイルを選択して実行しましょう。

万一それでもとに戻せなくなったら、メディアから再インストールすればいいのです。

参考:https://support.microsoft.com/ja-jp/help/4026616/windows-10-disk-cleanup

配信の最適化を無効にしよう

配信の最適化のキャッシュファイルを作らせないことで、ディスクの使用量を減らします。

参考:https://support.microsoft.com/ja-jp/help/4468254/windows-update-delivery-optimization-faq

ブラウザはFireFoxにしよう

FireFoxChromeより速くて軽いといっているわけではありません。

ただ、Chromeについてくるローカルファイルのスキャンのようなちょっとした常駐プロセスですらこの性能ではきついです。

また、ブラウザのアドオンなどという嗜好品をこの性能のデバイスで使えるなどと思わないでください。

そうなると、インターネットのやたら重いトラッカーたちを標準機能でかなりブロックできるFireFoxに軍配が上がります。

ちなみにEdgeはあんまり使ったことがないのでよくしりません。軽いならそれでもいいと思います。

マルチタスクを諦めよう

PCはスマホと違って沢山のアプリを同時実行できますが、このスペックでは事実上不可能です。

ブラウザで軽い調べものをしながら作業くらいならまだしも、プレゼン資料を作成しながら動画を見て音楽も聞くなんてことは難しいです。一つに絞ってください。

あと、ブラウザでの軽い調べものについても、隣にスマホを置いてそっちで行ったほうが効率的なこともあります

SkypeやDiscord等も重くなったら落としましょう。

【上級者向け】OSをLinuxディストリビューションにしよう

そもそもWindowsが重いので、Lubuntuのような軽量なLinuxディストリビューションをインストールしましょう。

メモリの余裕は精神の余裕です。

筆者は先述のスペックのマシンでWebの閲覧のような軽用途のほか、C++による開発やWeb開発、プレゼン資料の作成など割とヘビーな作業も行っていました。Windowsでは多分きついです。

最近のLinuxディストリビューションは初心者でも使いやすくはなっているのですが、ここでLinuxディストリビューションを上級者向けとしたのは、メーカーサポート対象外になるほか、LinuxディストリビューションAtom機と相性が悪いことが多かったためです。(今は知りません。)

そもそも2万円のPCにメーカーサポートを期待するのもアレですし、不具合が出たらWindows入れ直せばいいのでそんな神経質になることもないかもしれませんが、念の為……。

【追記】

Kubuntu 20.04を入れたら普通に入って普通に動きました。

標準設定だと画面の向きが横になりますが、普通にGUIからでもコマンドからでも変えられるのであまり問題はありません。

いまのところ画面回転をしたときに画面の向きとタッチパネルの向きが同期しないこと以外に問題は出ていません。

まとめ

NANOTEくらいのスペックのPCでも使い道はたくさんあります。

そしてこの手のニッチなガジェットは、使い道を考えるのも楽しみの一つです。

みんなもみんなだけの使い方を考えて教えてくれよな!!!

 

 

更新履歴

 

2020/04/30 初版

2020/04/30 ディスクのクリーンアップの手順の誤りを修正

2020/05/02 Linuxをインストールしたので追記